斎宮物語

【新御殿:御台所の間】


「御台様、いかがされます?」

「斎宮さんのことかえ?」

「…はい。」


「私はただ、あの方がお世継ぎさえ産んでくれればかまいませぬ。
私の歳では、もはやお子は産めぬとわかっておる。
お須免の方のお生みになられた大五郎君が亡くなられて、今、上様にはお世継ぎが鍋松君しかおりませぬからの…。」



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