斎宮物語
「誰か、公家の出の人はおられますか?」
私は、当たって砕けろの精神で、思い切って聞いてみた。
すると、一人の中年ほどの女性が名乗り出てくれた。
「私の父は…
大納言家の縁戚にございます。
あまり高い身分ではございませぬが…。」
「そうですか。
あなたは、茶の湯は…?」
「少しばかり、嗜んでおります。」
「では、私に茶の湯をご指南下さいませ。」
私は頭を下げた。
「もっ…、もちろんにございます!
どうかお顔をお上げ下さい!」
「ありがとう。」