斎宮物語

「あの…
いつき様。
茶の湯なら、御茶之間のものに訊くのが一番かと…。」

不意に、誰かが言った。

「御茶之間?」

「御台様のお茶を用意するお役目にございます。
その者達は、たいてい茶の湯もたしなんでおりますし…。」

「…そうなの?」

「はい。」

知らなかったわ。

まぁ、私は大奥のことなんて、ほとんど知らなくて当然かも知れないけれど…。


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