演劇の間
第一章:憧れのあの子
「あぁ、エリザベス。
君は何て美しいんだ。」
「えぇ、キース。
そんな事はわかっているわ。」
三年生の迫真の演技を僕は
五月の生暖かい風を受けながら椅子に座ってただ見ていた。
「今のとても良い!
素晴らしい!ワンダフル!」
ベタ褒めの山下。
あ、山下というのは演劇部の顧問で普段は英語を担当してる新米女教師さ。
「篠崎君はどう思いますか?」
山下が感想を聞いてきた。
「迫真の演技が素晴らしいです。」
毎回この答えしか言ってない気がする。