イジワル王子とお姫様
ぶつかる寸前で、顔を上げると目の前に彼の顔があった


「何で、オレの真後ろ歩いてんだよ…」


だってぇ


「あーもぉ。…っとに」


ナツキくんは一人ブツブツ言うと、いきなり私の肩と背中に手を回す


えっ?!私抱きしめられる?


そう思った途端、クルッと反対にひっくり返された


さっきまでナツキくんと向かい合わせだった私の体は…今歩いて来た道を向いていた


「逆方向。戻るぞ」


そう言い、ナツキくんはまた先に歩き出す


「えっと…どこ行くの?」


「オレが行きてー所」


ナツキくんは私を振り返ると、片手を差し出してくれた


え?え?


頭が真っ白になる
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