イジワル王子とお姫様
「わ…分かんない。でも、この人倒れてるし……とりあえず助けないとね」


うなだれた彼の腕を持って、グイグイ引っ張ってみる。


「ちょっと、桃香!こういう時は下手に動かしちゃダメなんだって。とにかく……人を呼ぼ」


「そっか……あっ!あそこに男子校の子がいる。助けてもらお」


私は、遥か遠くの道を歩いている男子生徒を指した。


「分かった!私呼んで来るから。桃香はここで彼を見てて」


「うんっ」


杏はカバンを置いて、私が指す方向へ懸命に走って行った。
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