イジワル王子とお姫様
ナツキくんは吹き出すと


「そんな慌てんなよ…。大丈夫、オレそんな気ねぇし」


へ?そんな気?


ん…何の話?


キョトンとしてると


「あれ、部屋交換してくれって言われんかった?」


あぁ!そっちの話!夜の散歩の話かと思ったぁ


まぁ…そんな動揺する話でもないんだけど


「銃士が杏と同じ部屋がいいっつーんだけど、断った。旅行前、あいつに散々言ったんだけどな…」


「…そうなんだ?」


「そ。部屋は別ってのが条件で連れて来たのにさ、やっぱ言う事変わってくんだよな…」


ナツキくんは、ため息交じりに呟く


「だ…大丈夫。杏は私が離さないからっ。お父さんの手前、そんなの絶対ダメだよね!?」


「…あー、まぁな」


ナツキくんは、ぼんやりとした表情で前を見る


…どうしたんだろ


テンション下がってるし


…ナツキくんて、普段冷静なのに、心配事があると手に取るように分かる


そういう所を、無理に取り繕って隠そうとしない所も、好きだなぁ…
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