冬の華
《簡単なことだ。
お前が邪魔して逃がした、
ヴェリアスをあるべき世界に送り届けるだけだ》

俺が逃がした…。
ヴェリアス…?
何のことだかさっぱり分からん。
簡単なことだって言ってるし、
なんとかなるだろか…。
そんなことより、眠い。

重い瞼を必死で持ち上げる。

考えることが面倒で…、
ってか考える余裕がなかった。

消え入りそうな意識の中、

「ヤバイな…、間に合うか?
本来なら契約をするのが先だが、
事を急ぐ」

耳から入ってきたヤツの声を
黙って聞いていた。

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