冬の華
結局押し切られる形で、
引き受けてしまったことを彼女に報告する。

「あっ…Fって喫茶店なら私も、知ってるけど。
女の人に人気のお洒落なカフェ
なんだけど…結構高級らしくて、学生には無理目のお店なんだよ」

落胆の息を吐く彼女に、
微笑み掛ける。

「明日…待ち合わせして行こう」

「えっいいの?」

驚きの表情で振り向く彼女に、

「最初からそのつもりだったから…それに俺一人はヤバイだろ?
軟派か不審者若しくは変質者で、警察呼ばれるって」

軽い冗談のつもりで言えば、

「有り得ない。
こんな良い男に声掛けられて、
嬉しくない女の子なんて絶対に、居ないんだから。
一目惚れされちゃうかも…」

目を白黒為せて…落ちた。

肩を抱いて、

「自分の男をベタ褒めすると、
退かれるぞ?」

額に唇を触れる。

「自分の男…か?」

呟いて、
顔を緩ませた。

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