冬の華
それならその方が良いんだろう。

あんな薄汚いモノなら見えないに越したことはないだろう。

悪戯に恐怖心を煽る無粋な真似をするつもりもない。

「否、一匹だけ…小蝿が粋がって飛んでるようだから…
簡単に償還させてくるよ。
直ぐ戻るから此処で待っててよ」

彼女の返答も待たずに
立ち上がり外へと向かった。

近付くにつれぼんやりだった外見がはっきりとしてくる。

顔が躰かと思われていたが…
成る程…顔と不釣り合いな程
小さく手足を付けるのでやっとの躰を認めた。

ワンダに聞いた話では…、

自らの躰を手にするには相当の
力が必要らしく、

その躰が人に近く完璧な程に
脅威的な力を持っているという。

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