冬の華
俺の中で何か得体の知れない存在が目覚めていく感覚だった。

ずっと胸の奥深く
押し込め
蓋をして
閉じ込め

見ない振りをしてきた何か…。

それが恐ろしくなっていく。

気付かせてはいけない。

頭の隅で警鐘が鳴り響いていた。

然しまた何処か別の場所では、

それを待ち望むかの様に

興奮している気持ちも確かに…、有ったのだ。

言い知れない心境に
危惧の念を抱き出す。

このままでは良くないことだけは分かっている。

終わらせよう。

そう決意し、
ヤツを振り返る。

昇還の呪文を唱えた。

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