冬の華
「黄泉の使い魔代行が命ずる…。…何の者を昇還せよ…」

それと同時にヤツの躰が宙に浮く

ゆっくりと光出すヤツを見た。

「我が名は…」

その時だった。

《お前…ハデスの息子か?》

俺の声に被せる大声で
ヴェリアスが告げる。

「なっ!?…何だって?」

だが、

呪文を言い終えていた俺の問いに答える者は既になかった。

「俺が…誰の息子だって?」

独り言は空に溶けるだけだった。

「ハデスって誰何だよ…」

その呟きは風に拐われた。

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