冬の華
彼女に近付く。

「心配掛けてゴメン…。
今度は巧く笑えてるかな?」

彼女は微笑み頷いた。

「俺には産まれる前から父親が、居なかったから…。
母親にも育児放棄されてさ…。
肉親って呼べる人が居ないから。
実際周りが羨ましかったのかも…
だから…ほんの少し動揺してた。
実の父親の存在って自分で考えるよりも遥かにデカイんだって…。
思い知らされたんだよ」

彼女の両手をその手に包み込む。

繋がった手からは
彼女の温かい気持ちが溢れて、
俺のグラグラな心を溶かしていく。

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