冬の華
今でこそ彼女の存在が俺の支えで此処に居てくれるって信じられるけれど…少し前の彼女の気持ちを知る前の…否、彼女と出逢う前の俺ならどうだっただろうか。

父親の名前に揺らいだだろうか?
動揺して取り乱しただろうか?

恐らく…
気にも留めていなかっただろう。

知りたくない!

それが大前提だったはずだから。

俺には両親は居ない。

家族はない。

そう思うことで、
今までどうにか乗り越えてきた…心の平静を保ってきたんだ。

だが今はどうだ?

何故、母を棄てた?
何故、俺を産ませた?

真実が知りたくて仕方がない。

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