冬の華
玄関の鍵の音に続き扉の開閉、
足音が近付いてくる。

廊下からリビングに繋がる扉が
開かれて体が滑り込まれた。

「あっ!お帰りなさい。
今日は早かったんだね?」

彼女が笑顔を見せた。

「こっち来て…」

差し伸べた手に彼女が触れたと、同時に引き寄せる。

当然バランスを崩し倒れ込んだ
彼女の華奢な体を抱き締める。

「どうしたの?」

俺の胸に顔を埋めたままの彼女が囁く。

「部屋…行こう」

それには答えず腕に力を加える。

「えっ?…でも…」

見上げる彼女に唇を重ね合わせ、啄む様にそれを誘導していく。

薄く開き掛けたばかりなのに…、乱暴に侵入を試みた。

「んっ…」

甘く漏れる吐息からも拒否の意思は無く更に奥深くを目指す。


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