冬の華
唇を離すと軽く息を乱した彼女が瞳を潤ませ見つめる。

抱き直し彼女を掬い上げて
立ち上がった。

部屋に向かう俺の邪魔を
するつもりは無いのか、
大きく欠伸をすると立ち上がり、その場で一回転して眠りに着く。

両手の塞がった俺は自分の寝室の扉を開けた。

首に腕を絡ませた彼女にはそれは見えてない。

見える筈が無いのだけれど…。

足を踏み入れ扉を閉める。

「えっ…今どうやって?」

首を捻る彼女をベッドに降ろし、覆い被さる。

「そんな色気の無い話はいいよ」

片手を脇に付き、
彼女の頬に触れる。

色白の彼女が紅色に染まった。

< 130 / 298 >

この作品をシェア

pagetop