冬の華
隣で眠る彼女は少女の様に可愛く女神の様に綺麗だった。

その寝顔を見つめる俺の結界を
意図も容易くすり抜けて来た、
体の芯から冷たく凍り付きそうに強烈な気の力に跳ね起きて部屋を飛び出した。

「ふ〜ん…お前か…」

目の前に現れたのは、
全身から迸るフェロモンに
男女問わず充てられるだろう
近代美術の世界から脱け出した、神か悪魔か…。

こんなに美しい人間を見たことがなかった。

否、明らかに人間ではない。

これがヴェリアスだというなら、俺の勝算は0だ。

《ヌル様!何故此方に?》

「何だワンダ暫く見ないうちに、随分と可愛くなったな?」

その笑い方まで艶やかで妖しく、余計に得体の知れない恐怖を煽るのだった。

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