冬の華
やはり愛など夢か幻だった。

父親は母親を捨てて逃げた最低な男だった。

恋愛などするもんじゃないんだ。

いつかは心変わりして
離れていくんだから。

それなら俺は恋愛などしない。

友達のままなら…
ずっと離れずに居てくれる。

落胆し項垂れた俺の視界に寝室のドアが映る。

最低な男の息子は最低な男か…。

今更、
友達になんて戻れる筈がない。

彼女の大事なモンを奪ったんだ。

震える彼女をこの手で抱いた。

初めて心ごと一つになった。

俺が彼女を求めてるんだ。

愛なんて知らない…けど。
愛の意味も解らない…けど。

俺に彼女を愛せるだろうか?

唯、
俺が彼女を離せない離したくないって理由だけで…。

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