冬の華
鍵がある部屋のドアを見つめる。

《鍵ぐらいいつでも外せる筈だ。女も意味無い事など知ってる。
唯のポーズだ…。
本気で嫌なら拒む様には伝えた…お前の命が如何に重要かもだ》

つまり…。
彼女に拒否権は無い。

何時からだ?
彼女は今まで本意に俺を
受け入れていたのか?

思い還してみるが…。
記憶に残るのは
快楽のみだった。

そんなこと聞かされて
彼女を抱こうだなんて
思える筈が無いのに…

本能とは恐ろしい程に
素直な反応を見せるものだった。

解ってる。
今の俺に彼女が…必要だ。

迸る情動に、
俺は静かに…
鍵を外した。

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