冬の華
何故だ何故来たんだ?

悪戯のバレたガキが
叱られるのを待つ間の様に
高鳴った鼓動が耳に付く。

部屋のチャイムの音に
口から飛び出してくるものがあるんじゃないかと思う程怱忙も極限に達した。

「何しに来たんだよ…」

中に通すつもりはない
意思表示を表す為に
ノブに手を掛けたまま
向かい合う。

「元気そうね…」

心底安堵する顔に

「用が済んだなら…帰れば?」

非情に言い渡すと同時に。

ドアが一人でに動き出した。

力ずくで押し留めるが
尋常で無い引きの力に

バタンッ!

音を立て大きく開放してしまう。

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