冬の華
「さて…残念だがお前の息子は、全てを悟った様だぞ早苗」

ヌルの発言に
俺と実母の目が合う。

「ダメよ!
ダメ貴方はナルの子じゃないの」

俺の腕を取りすがり付く。

「ヌルの子…なのか?」

「違う違う」と首を振り続ける母に代わりヌルの顔を見た。

「早苗いい加減認めたらどうだ」

ヌルに言われる間でもなく
俺は気付いてしまった。

ヌルとはドイツ語でゼロ
英語に近い呼び方はナル

そして…
日本語でゼロは零

「知ってたのか?
知ってて…此処へ来たのか?」

「無論だ。
この俺を誰だと思っている」

俺の存在を…。
ヌルが母と俺を捨てた。

「ふん」ヌルが鼻を鳴らし
冷笑して見せる。

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