冬の華
ヌルの言葉に頭に血が昇る。

冷静さが失われていくことだけが解っていた。

不思議なもので、
頭に血が昇ると言う言葉とは
真逆に血が引いていく感覚だ。

足下から
気が漏れ始めたからなのか

カタカタと
僅かに地響きを鳴らし
それが広がっていく。

冷静という言葉ではなく
冷えた気持ちが支配していく。

真愛を傷付ける奴は許さない。

だが、
本当に傷付けてる原因は
この俺に他ならない…。

これが八つ当たりであることも、

気付いていたのかもしれない。

だけど…。

この時の俺には
それに構う余裕はなかった。



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