冬の華
眼光鋭く俺を見据えたヌルは、

「存在が消失するということは」

言葉を区切り、

「零稀がいなくなるということ」

重みを持たせる。

「この世界から零稀が消える。
誰もお前を覚えてさえ居ない」

大きく高鳴り出す鼓動に

「お前の存在自体掻き消される」

ヌルの言葉だけはやけに響き

「痕跡さえ残さず無になるのだ」

次の言葉を待ち構える。

「流石に気付いた様だな」

息を飲みヌルを睨み付け

「信じられない…証拠は…証拠はあるのか?」

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