冬の華
急激な喉の乾きを覚える。

気が遠退く前触れなのか
鼓膜は膨張し
目先は翳ろう

体からは血の気が引き
指先が冷たく
小刻みに痙攣した。

胃から込み上げてくる何かを
必死で飲み込み耐える。


いつだっただろうか…

初めてヴエリアスに出会したあの時が

俺の中の
恐怖のピークだと思っていた。

比べるまでもない恐怖が
今俺の中で渦巻いている。

想像だけでこれ程なのに…。

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