冬の華
気持ちは固まっていた。

決めたなら速い方が良いことも、解っている。

だが
俺はまだ言い出せずに居る。

「零稀?」

「ん?」

「この頃変だよ?
お父さんと飛び出した後、
1人で帰ってきたけど…
本当は何があったの?」

「流石解ってるな真愛!
そんだけ見てるって事?」

真愛の勘の良さを茶化す。

「それだけ零稀が好きって事よ!零稀が何か隠しても解るの!」

真愛には通用せず。

出発の時間が刻一刻と近付く。

真愛の真っ直ぐな瞳に
誤魔化しはムダだと悟る。

深い深呼吸の後、
俺は覚悟を決め口を開いた。

「真愛、俺は…ハデスに行く!」

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