冬の華
路地を曲がり
消え行く背中を目で追う。

「ヤベッ」

彼女に続き路地を曲がった先に
目を疑う光景が飛び込む。

「夢でも見てるのか?」

呆気に盗られたままの俺に

「どうして付いてきたの?
もう遅いから!」

彼女が俺の前に立ち塞がった。

彼女の背後から得体の知れない何かの手が伸びる。

「危ない!」

咄嗟に彼女を背に庇った俺の鼻先を掠め彼女の猫が飛び掛かった。

3mはあると思われる黒豹へと姿を変えながら。

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