冬の華
一瞬だった。

得体の知れない何かが
光を帯び空へと昇っていく。

「大丈夫だって言ったでしょ」

得意気な彼女の肩に
猫が優雅に飛び乗った。

「彼が居ない間は…
私が私達がヴェリアスと戦うって決めたの」

少し寂しそうに瞳を揺らす。

「でも驚いた貴方にもヴェリアスが見えるのね?」

俺の顔を覗き込む彼女に
戸惑いの色を感じ取る。

「ヴェリアスって今の化物?」

「そうよ!
酷く醜い見た目だったでしょ?」

彼女はくすくすと笑いながら
楽しそうに続ける。

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