冬の華
ヤツは読み掛けの本を閉じると、視線を一度俺に向け歩き出した。

「仕事って具体的には何する訳?やべぇ事じゃねぇだろうな?」

いつの間にかリフォームされてた階段で階下へ降りて行く。

「ヤバいと云えばヤバいかもな」

含みを持たすヤツの台詞に苛立ち

「勿体振んな!」

吐き捨てる。

階上でリビングになってる部屋は此処では応接間の様だ。

彼女の部屋の下は
書斎ってところか?
零稀の部屋の下と繋げてある。

ダイニングはそのままで…

「俺の部屋は?」

「入口正面の部屋は自由に使って構わないけど狭い?」

「否、充分だけどよ…。
此処なら確か上でも空いてんじゃねぇの?」

今は未だがらんどうの空間を眺め家具の配置を模索しながら呟く。

「俺は別に構わないが大和には、生殺し状態だろ?」

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