冬の華
ソファーに身を委ね
黙り込んだ俺を大和は
片目をうっすらと開け盗み見る。

ふっと漏らした笑みに。

「何だよ…。
俺は別にビビってねぇからな!」

大和は過剰な反応を示す。

「あっ…否、
気に障ったなら謝る。
唯…半年の間に俺を取り巻いてた環境が随分様変わりしたと思って感慨深かっただけなんだ」

此処を去る前は、
触れたモノの思念体は見えてた。

だが今は、
触れなくとも…見える。

強い思念はそれだけで
自ずと訴え掛けてくる。

「なあ零稀…本気でその化け物が仕事の依頼しに来るなんて思ってねぇよな?」

大和が躊躇いがちに尋ねる。

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