冬の華
大和の持参した黒封筒を
書斎に面した床に無造作に置き

軽く手をかざし魔術を解く。

瞬時に黒煙を纏いゆっくり回転を繰り返しやがてそれは姿を現す。

魔界の共通語で話す
俺達のやり取りは大和には通じず俺達の顔を交互に眺めている。

「成る程な…解った。
了解したと皇に伝えてくれ」

深々と敬意を表し
現れた時の真逆に消え去る。

後に残る部屋中の痕跡に…。

「やはり煤残しか…」

溜め息が漏れる。

「何だこりゃ!」

覗き込んだ大和の

「魔界の伝達役の彼女の置き土産…掃除するか…」

片手にモップを手渡し肩を叩く。

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