冬の華
明らかに気の抜けた顔の大和は

「フットワーク行ってくる…」

「ん?嗚呼…行って来いよ」

俺の声に
張り合いのない返事を返す。

気になりはしたものの…
習慣のトレーニングに向かう。

「零稀!」

階上で起き抜けの真愛に会い。

「おはよう」

彼女を抱き寄せその額に
唇を落とす。

それだけで顔を染めて
綻ばす真愛が愛しくて

唇を重ね合わせ
それが次第に深くなる。

「零…稀…」

呼吸を乱し見上げる
彼女の熱っぽい瞳に
体の火照りが蘇る…
と同時に大和の顔も浮かび。

「フットワーク行ってくるよ…」

俺は部屋を後にする。

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