冬の華
敵はいない?
他に戦うヤツがいないってのか?

《無力のお前は》

その声とともに光出す手。

《目の前で起きる事実を》

掌から放たれた光が矢のように、
俺の顔横を霞め飛んでいく。

《何も出来ずに見てるんだな》

次の瞬間には、
放った気が地響きを起こした。

「何だ?」
「地震?」

ザワツキ始める人波に、
次々気を放っていく。

「キャー」
「逃げろ」

右往左往する人混みで、
成す術もなく立ち尽くしていた。

大きく地鳴りを響かせ、
揺れる地面に、
パニックは更に増す。

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