冬の華
口調こそ敬語だが
一貫して冷めた感情の抑揚のない声のトーンは拒絶を示す。

「まあ…
ワンダの邪魔して降格させた俺を先輩思いのあんたが快く思わないのは当然かもな!」

「俺の胸中を…」

悔しげに顔を歪める奴に
弁明する。

「別に無理やり抉じ開けて覗いたわけでもないけど…。
なんか俺も結界が意味を為さない体質に変わってて悪かったな」

ヌルの…
ハデスの血が色濃くなるにつれ、俺を拒む結界がなくなった。

外そうと思って外すわけでもなく無いものと同じだった。

ハデスを止める者はハデス以外は居ないということだ。

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