冬の華
地下室から立ち上る霊気に
大和が目眩を起こす。

「大和?ムリするなよ?」

踏み外しそうになるのを
なんとか堪えた大和が呟く。

「お前の方が倒れたじゃねぇか」

「ああ…あれ?
上手く入り込めて良かったよな?大和のお陰だよ助かった」

わざとらしい棒読みの台詞に
流石に大和がキレた。

「お前…俺も騙してたのか!」

「えっ?
大和気付いてなかったの?」

勿論、
知り尽くしての言動なのだが…。

「静かに!」

次の言葉を発する前に
それを制した。

「警戒してる…」

「俺達に気付いてんのか?」

大和が息を潜め俺を見る。

「あれだけ血を流したんだ当然だ俺を喰いたくて仕方ないはず」

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