冬の華
身体から抜け出した掌サイズの
影が威嚇してるのか部屋中を
猛烈な速さで飛び回り始める。

「おっ…おい。
何が起きてんだよ」

大和にはその動きを捉えることも出来ずに狼狽えるばかりだ。

「ほらあっち…」

影が壁に止まった先を顎で示す。

「なっなんだあれ?」

頭から触角を垂らし
コウモリの様な羽を広げ
鋭く赤い目玉をギョロつかせ
尖った耳先まで避けた
顔半分を被う口元から
鋭利な牙が覗く。

「近付くんじゃねぇ!化け物!」

罵声を浴びせる大和に
狙いを定め一気に飛び掛かる。

「ぅうわ〜」

大和の雄叫びが木霊する。

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