冬の華
あの日
俺の記憶も消されたと思ってた。

ハデスの記憶と共に…。

実際はどうであれ
継父は俺を覚えていた。

何よりも
息子として受け入れていた。

どちらかといえば…

「あの…零稀さん…」

「兄貴に零稀さんはねぇよな?」

「俺に聞くなよ…」

一人っ子として育てられた
箱入り娘の少女の方が。

「お兄ちゃんって呼んでみん?」

「えっ?」

「止めろ大和…」

いきなり兄貴が現れて
戸惑いを隠せてない。

「…お兄ちゃん…」

少女の頭をぐしゃぐしゃと撫で

「よく出来ました!」

大和が大袈裟に褒める。

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