冬の華
小さな妹も居る大和にとっては
大したことではないのだろけど

「んじゃ〜直接こいつの顔を見て言ってみようぜ?」

視線が絡み

「…お兄ちゃん」

赤い顔の少女のそれは耳に首に
身体中に広がって行く。

「うわ〜すげ〜茹でタコみてぇ」

「…からかうなよ」

俺も多少は気恥ずかしいが
少女の前でそれは無いに等しい。

軽く息を吐き
俯く少女に視線を合わせる。

「何?」

「あの…えっと…」

伝えたい事は既に伝わってる。

けど…
少女の口から出るまでは
待っていようと思う。

「お兄ちゃん…に…」

それだけで照れ臭くて

同時に
歯痒くてもどかしくて

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