冬の華
真愛が居たからだ。

「ありがとう真愛」

「何でありがとう?」

「秘密…」

「あっ!雪?」

真愛が窓に近付き
子供みたいに顔を寄せる。

「…ごめんな」

「ん?今度はごめん?」

真愛の腰を抱き寄せ

「クリスマスも年末年始も一緒に居てやれなくて…」

髪に顔を埋める。

「良いよ…これからは毎年一緒に居てくれるでしょ?」

俺の手に真愛の手が重なる。

「外…行くか?」

「えっ?寒いよ?」

「寒いからだろ?
抱き締め合う口実が出来る」

真愛の返事より先に
彼女を横抱きに抱え

窓から飛び出した。

< 294 / 298 >

この作品をシェア

pagetop