冬の華
予想以上に冷える
真冬の空の中でも

「見て雪の結晶…」

真愛は瞳を輝かせていた。

「綺麗だな…」

「冬の華…」

「冬の華?」

「うん。雪の結晶って冬の華って言われてるでしょ?」

「そっか…冬の華か…」

二人で真愛の手に降る
冬の華を見詰める。

「儚いね…直ぐ溶けちゃう」

「だから綺麗なんだろ?」

「違うよ…汚されてないからよ。何にも汚されてないから…。
私の手に汚されて溶けるの…」

夜空を見上げ。

「汚されない華はまだヒラヒラと舞っていられるのに…。
私が汚して溶かしてしまうのね」



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