冬の華
いつかの様に
純粋で無垢なまま

俺の腕の中で
艶やかに色付き

華を咲かせる。

「零稀…」

掠れて濡れた声が
俺を更に煽り熱くさせ

欲望を掻き立てる。

満開に咲くその前に
摘み取りたくなる衝動を
必死で押さえつける。

「…零稀…零稀に会えて…
零稀に愛されて…幸せだよ」

「真愛…」

「零稀の為に…綺麗に咲いたの…零稀にあげるから…私の全部…」

真愛の最後の気を
残らず溶かす。

「真愛…」

俺の胸に眠る愛しい彼女が
ずっと笑っていられる様に…。

俺は彼女の額に
誓いのキスを落とす。


-end-

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