冬の華
ヤツが俺の視線の先に気付いた。

《気になるか?》

まさか

ヤツの手が子供に向く。

《目障りだ》

「止めろ」

気が放たれたのと、
叫び飛び出したのが同時だった。

無我夢中で駆け寄り、
子供を片腕で抱え込み、
もう片方を直撃を避けるために、差し出した。

放たれたそれは、
俺達の前で弾け飛ぶ。

《何だと》

差し出した腕の前には、
確に盾が光っていた。

俺が出したのか?

驚きの前に、集中力が欠けると、
盾は跡形もなく…消えた。

《ふん。マグレか。
次は無いと思え》

再び此方に掌を向ける。

マグレでもいい。
もう一度出てくれ

片腕に意識を集中させ、
先程の光景を想い描く。

手首から肘まで微かに熱を帯、
気が集まり出したのが分かる。

ヴェリアスから放たれた、攻撃の気が俺達を目がけ真っ直ぐ飛んでくる。

頼む
出てくれ

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