冬の華
最後だった。

残る気を全て込めた。

もうヤツの攻撃を避ける手段は、

何も残してない…。

悔しくて情無くて、
涙が溢れ落ちる。

やっぱ俺は必要のない人間なのか
ちっぽけな存在なのかよ。

守ってやれなかった。
この小さな存在を…。

巧く行くと思ってた。

巧く行ってたんだ…。

ただ、俺の力不足ってだけで。

もっと力が欲しかった。

大事なモンを守れるだけの力が。

刹那主義?

笑わせんな。
後悔ばっかじゃないか。

ただ静かに流れ落ちる涙を、
拭うこともせずに、
肩を落とし立ち尽くしてた。

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