冬の華

彼女の懸念…畏怖

「やっぱ人間じゃないの?」

思わず口を吐いた本音に、
彼女は首を傾げる。

「あっ…いや」

俺の動揺に彼女が微笑む。

景色に同化してしまいそうな、
妖しい感じに胸が締め付けられ、

「何で泣いてるの?」

知りたくなる。
彼女の全てを…。

「彼がね、待ってるの…」

遠く見つめる瞳に、

男、居るよな…。
こんだけ可愛いんだ。

「待ってるのに行けないの…」

何だよ…。
親に反対でもされたか?

「私はまだ向こうには行けない。でも彼が分かってくれなくて」

何だ?
少し様子が…。
若干の違和感に、
胸騒ぎが始まる。

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