冬の華
自分の体を抱き締め、
微かに震えてる。

「ムリに連れて行こうとするの」

声まで震え始めて…。
瞳からは大粒の涙が溢れ落ちる。

「あの、さ…。
その彼は何処に行こうって?」

何を怖がってるのか、
首を振り続けた。

「大丈夫…大丈夫だから」

堪らず、
彼女の細い体を抱き寄せ、
背中をなだめるために擦ってた。

「その彼に会わせてよ?」

俺の胸で子供みたいに号泣する。

「俺が話付けてやるからさ?」

彼女の彼は恐らく、

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