冬の華
それが一ヶ月前の大喧嘩の後、
風邪を拗らせ呆気なく
逝ってしまったそうだ。

喧嘩別れで、
仲直りも出来ずに…
一人で逝った彼が、

「怖かった…。ただ怖くて…」

「普通は怖がって当然だから」

どんだけ愛情を注いだ存在でも、実際出会えば怖くて当然だ。

涙ぐみ出す彼女の肩を
抱き寄せる。

「告白が激しい人だった…から。
あの時みたいに…
強引に誘われてる気が…した」

激しい…か。

俺の肩に顔を埋め、
咽び出した。

あの男は結局
彼女に謝りたかったのか。
喧嘩別れで未練残したのか?

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