冬の華
《邪魔しやがって》

頭の中で、
声が響く。

俺の声じゃないよな?

《轢き逃げされ、
助けた女に仇で返され、
一人寂しく死んでいく…》

何でだ?
俺の頭の中で、
俺以外の誰かが話すなんて
有り得るのか?

落ち着け…。
そっか、
あまりにも非日常なことが起こり過ぎて脳味噌がパニック起こしたのか…。

冷静だと思ってたが、
普通の感情はあったってわけだ。

《挙げ句、そんな奴らの心配とは笑っちまうな》

こんだけ血が流れてるのに痛みが何にもない。
心なしか、眠くなってきたな…。

< 6 / 298 >

この作品をシェア

pagetop