冬の華
連れ帰った彼女を見て、
ワンダが溜め息を吐く。

凄いな、猫って溜め息吐くんだ。

感心してる俺に、

《邪気に乱される。
未熟者のお前は禁欲中のはずだ》

禁欲中ってのは…。

そんなつもりで
連れて来たわけじゃないよ。

多分…恐らく…きっと…
或いは…。

「ごめんねワン君?
ご主人様盗られたみたいだね?
水入らずの邪魔しないからね?」

ワン君ねぇ?

満更でもないんじゃないの?

俺には応えず、
彼女の手に顔を撫で付けるワンダは唯の猫に成り下がってる。

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