冬の華
彼女が家に来て一週間。

俺達の関係は当然変わらず、

「そろそろ本格的に探さなきゃ」

彼女の不意の発言に、
胸を鷲掴みされる。

「探すって何を?」

まさか部屋か?
新しい部屋に移るつもりか?
高鳴る鼓動が耳に付く。

「ん〜」

携帯を触る手を止めず、

「バイトしようと思って…」

返す。

何だバイトか…。
胸を撫で下ろす間もなく、

「やっぱり仕送だけではムリっぽくて…」

ムリ?
今のところ生活費は俺が出してる
無論これからもそのつもりだ。

なら何だ?
そんな金の掛る遊びなら、
させたくない…。

買い物だってねだられさえすれば

《愛人でも囲ってる様だな?》

俺がワンダを振り返るのと、
彼女が体をビク付かせるのが
略同時で…

「あっ悪い、驚かせた?」

思わず謝る。

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