冬の華
首を横に激しく振って、

「ごめんなさい。
私ちゃんと生活費入れるから…」

ん?

「生活費って?」

俺の怪訝な表情を読み取ってか、

「こんな素敵なマンションに住ませてもらって食費まで出して貰って…ホテルなら10万は軽く越えてる」

ホテルならね?
でもここは俺ん家で、
ホテルじゃないから…。

「生活費なんて要らないよ?」

彼女はまだ首を振ったままで、

「仕送に30万もしてもらってるの学業に専念してバイトしなくてもいいようにって…」

良い親なんだよな?
愛されてるってことだよな?

金のことは…
マジ俺には分からないが。

「だけど向こうの家にも掛るし」

向こうの家って言い方が、
単純に嬉しかった。

私の部屋でも、
自分の家でもない、
向こうの家…

此処も家だと思ってくれてるってそう思えたから。

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