冬の華
待つこと数分…。

「ご指名ありがとう…」

俺の前で今度は彼女がフリーズ。

「何してんの?」

俺の冷ややかな視線から逃れ、

「バイト…」

目を泳がせる。

怒りたいのは山々だが、
今は未だバイト中だ。

「まぁ…いいや。
じゃ、やって」

頬杖を付いて見上げた。

「えっ?」

驚く彼女に、

「俺、ご主人様…」

業務を遂行させてやる。

「あっえっと…、ご注文…は?」

「じゃあ、お勧め…ってか、
この後飯食いに行くから腹に溜らないもん」

俺が来てから2、3人来てるけど、

「キャラメルラテが…、カフェのお勧めです」

どいつも彼女指名らしく、
指差されてる。

「んじゃ、それで…」

「かしこまり…」

口籠り最後の方は聞き取れない…

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